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―問題社員対応・退職紛争の解決事例―
新潟県内の通信事業者(従業員約20名)から、威圧的言動や指導拒否が続く問題社員への対応について相談を受けました。代表者との協議の結果、本人から口頭で退職の申入れがあり会社が即日受理しましたが、退職届・退職合意書が未作成のまま退職手続を進めたところ、相手方弁護士を通じて雇用契約が継続されているとして賃金等の請求がなされました。当事務所が会社の代理人として交渉に当たり、労働審判・訴訟を経ることなく早期に解決した事例です。
①基本情報
- 業種:通信業
- 企業規模:従業員約20名
- 相談分野:問題社員対応・退職の効力・退職トラブル・賃金請求への対応
- 関与時期:相手方からの請求を受けた後
- 解決結果:相手方が請求を取り下げ、労働審判・訴訟なしで早期解決
②相談前の状況
問題となったのは、会社に勤務する正社員の経理担当者(以下「A」)でした。
Aは周囲に対して威圧的な言動を繰り返し、後輩・部下への指導や教育をほとんど行わない状態が続いていました。その影響で、入社してまもない複数の社員が相次いで退職するという事態にも発展していました。
代表者は数回にわたり直接Aと面談し、改善を求めました。その都度Aからは反省の言葉が述べられましたが、いずれも一時的なものにとどまり、しばらくすると同じ状況に逆戻りしていました。さらに、他の複数の社員から「Aがこのまま在籍するなら自分たちは辞める」という申入れがあり、代表者は深刻な板挟みの状況に置かれていました。
その後、代表者がAに対して現状の深刻さと周囲からの強い不満を率直に伝えたところ、Aから口頭で退職の申入れがありました。代表者はその申入れをその場で受理しましたが、退職届は提出されておらず、退職合意書も作成されないまま、会社は自己都合退職として離職手続を進めていました。
その後、Aから弁護士を通じて「雇用契約はまだ終了していない」として、賃金等の支払いを求める請求がなされました。
会社は以下のような状況に置かれていました。
- 退職の効力への疑問:口頭でのやりとりだけで退職は成立しているのか、法的に有効なのか判断できない
- 書面未作成のリスク:退職届も退職合意書もなく、証拠が口頭のやりとりだけで不安
- 請求への対応方針:相手方に弁護士が就いており、どう対応すればよいかわからない
- 早期解決への希望:労働審判や訴訟になると時間・費用・精神的負担が大きく、早期に解決したい
請求を受けた後、早急に当事務所にご連絡をいただき、代理人として対応することになりました。
③ 弁護士の対応・解決の経緯
STEP 1 退職の効力に関する法的見解の整理
まず、本件における退職の法的性質と有効性を整理しました。
退職の法的形態には大きく「辞職(一方的な退職の意思表示)」と「合意解約(会社との合意による退職)」の二種類があります。本件では、代表者との協議の中でAから退職の申入れがなされ、代表者がその場でこれを受理したという経緯から、Aの申入れが辞職の意思表示として有効に成立しているか、あるいは合意解約の申込みに対する承諾として雇用契約が終了しているかを検討しました。
- Aから自ら退職を申し入れたという事実関係の確認
- 代表者がその場で受理した経緯・状況の詳細な聴取
- 口頭による退職・合意解約の成立要件と法的有効性の検討
- 相手方が主張する「退職の意思表示はなかった」という主張への反論の整理
検討の結果、Aが自ら退職を申し入れ、会社がこれを即日受理したことにより雇用契約は有効に終了しているという見解を固め、この立場で交渉に臨む方針を定めました。
STEP 2 会社の代理人として交渉
当事務所が会社の代理人として相手方弁護士と交渉を行いました。
- Aから退職の申入れがなされ代表者が即日受理したことにより雇用契約は終了していることを書面で明示
- 代表者との面談経緯・協議内容など、退職の意思表示があったことを裏付ける事実関係の主張・立証
- 相手方の主張(雇用契約は継続しているとする主張)への反論
- 仮に紛争が長期化した場合のリスク・見通しの会社への説明と対応方針の共有
STEP 3 相手方による請求の取り下げ・解決
交渉の結果、相手方から請求を取り下げる旨の連絡があり、解決に至りました。
労働審判・訴訟といった法的手続に発展することなく解決したことで、会社は余計な時間・費用・精神的負担を負うことなく、早期に事態を収束させることができました。
- 相手方弁護士との交渉により、Aからの賃金等の請求を取り下げさせることに成功
- 労働審判・訴訟を経ることなく早期に解決し、余分な費用・時間の負担を回避
- 退職の効力をめぐる退職トラブルを、法的根拠に基づく交渉で迅速に終結
💬 担当者の声
「問題社員への対応を機に、先生方に顧問弁護士として当社についていただくことになり、大変心強く思っています。今回の件では、相手方に弁護士が就いた段階で不安を感じましたが、すぐに代理人として動いていただき、訴訟になることもなく早期に解決できました。書面のないやりとりでも法的に有効な退職として対応できると知り、早期に相談してよかったと思っています。」(通信業・代表者)
④ 担当弁護士のワンポイント解説
「退職届がなければ退職は成立しない」は誤解
退職の意思表示は、必ずしも書面(退職届)によらなくても有効に成立します。口頭であっても、退職の意思が明確に表示され、会社がそれを承諾または受理した事実が認められれば、雇用契約は終了します。
ただし、書面がない場合は「言った・言わない」の争いになりやすく、立証面で不利になるリスクがあります。本件でも、書面が残っていなかったことが相手方につけ込まれる余地を与えてしまいました。
「退職の書面を残す」習慣が会社を守る
今回のケースは、退職の意思表示があった段階で以下の対応を取っておくことで、その後の紛争をより確実に防ぐことができました。
- 退職届(自筆署名・捺印付き)を必ず提出させる
- 提出が難しい場合でも、退職合意書を作成して双方が署名捺印する
- 少なくとも、退職の意思確認をした日時・場所・やりとりの内容をメモ等で記録しておく、退職申入受理通知書を作成し交付しておく
問題社員への対応は、感情的になりやすく、手続面での備えが後回しになりがちです。しかし、退職合意の場面こそ「証拠を残すこと」が後日の退職トラブルリスクを大きく左右します。
経営者・人事担当者の方へ:問題社員の退職対応でよくある落とし穴
- 落とし穴① 口頭で退職の話がまとまったのに退職届を求めなかった → 後日「言っていない」と否定される
- 落とし穴② 退職合意書を作らずに離職手続を進めた → 「合意した事実はない」と主張される
- 落とし穴③ 相手方に弁護士が就いてから初めて相談した → 初動対応の選択肢が狭まっていた
- 落とし穴④ 問題行動の記録を取っていなかった → 交渉・訴訟での主張・立証が困難になる
同様のリスクが想定される場合は、事前に対応方針を整理しておくことが重要です。一度現状を整理されたい場合はご相談ください。
顧問契約により、こうした初動対応を事前に設計できる点が大きなメリットです。
問題社員への対応は「問題が起きた後」ではなく「気づいた段階」で相談を
- 本件では、相手方から弁護士を通じた請求がなされてから当事務所にご相談をいただきましたが、問題社員・退職トラブルへの対応は、問題行動が繰り返されている段階から弁護士に相談することで、
- 注意指導の記録の残し方・書面化のサポート
- 退職勧奨の進め方・注意点のアドバイス
- 退職合意書・解雇通知書などの書面の事前準備
- 問題行動が深刻化した場合の懲戒処分・解雇の検討
といった「予防的な対応」が可能になります。紛争が起きてから動くよりも、早い段階でご相談いただく方が、会社にとってのリスクと負担を大幅に減らすことができます。同様のリスクが想定される場合は、事前に対応方針を整理しておくことが重要です。一度現状を整理されたい場合はご相談ください。顧問契約により、こうした初動対応を事前に設計できる点が大きなメリットです。
弁護士法人リーガル・パートナー法律事務所(新潟県弁護士会所属)は、新潟県内の企業の労務問題、紛争予防を得意とする法律事務所です。顧問先75社超・老舗100年企業から年商100億円を超える企業まで、問題社員対応・退職トラブル・ハラスメント・解雇・労働災害(会社側)など、幅広い企業労務の案件を取り扱っています。
こんな状況でもお気軽に新潟の弁護士法人リーガル・パートナー法律事務所にご相談ください(新潟・企業側対応)
- 問題社員の言動で職場の雰囲気が悪化している
- 何度注意しても改善しない社員がいる
- 口頭で退職の話はまとまったが、書面を残していない
- 退職した(させた)社員から弁護士を通じて請求が来た
- 退職勧奨を進めたいが、やり方がわからない
- 問題社員への対応を顧問弁護士に継続的にサポートしてほしい
新潟で問題社員対応・退職トラブル・退職勧奨・賃金請求対応にお悩みの企業様へ
問題社員対応や退職トラブルは、初動対応を誤ると労働審判・訴訟に発展する可能性があります。新潟で企業側の労務問題に対応する弁護士をお探しの方は、紛争が深刻化する前にご相談ください。
