新潟の弁護士による企業労務相談

弁護士法人リーガル・パートナー法律事務所(新潟県弁護士会所属)
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休職・復職を繰り返す社員への対応

―医学的意見と会社の実情を踏まえて、自主退職により円満解決したケース―

① 企業情報

地方都市に本社を置くサービス業A社(従業員数約30名)。
地域密着でサービス提供を行っており、正社員・パートを合わせて約30名規模の会社です。
1人あたりの業務負担が比較的重く、誰かが休職すると他の社員へのしわ寄せが大きい一方で、メンタル不調を抱える社員への配慮も求められる、難しいバランスの中でのご相談でした。

②相談前の状況

A社のXさんは、入社5年以内の正社員で、現場の中心メンバーの一人でした。
しかし、次第に心身の不調を訴えるようになり、「適応障害」とする主治医の診断書を会社に提出。会社は就業規則に基づき、約2か月間の休職を認めました。
休職の終盤になると、Xさんからは「できれば戻りたい」「もう一度働きたい」と復職の希望が示されました。
主治医からも「就労可能」とする診断書が出ていたことから、会社は復職を認め、元の部署で勤務を再開しました。
ところが、復職後6か月も経たないうちに、再び心身の不調を理由とする早退・欠勤が増えていきました。
特に、

  • 朝出社できずに欠勤が続く
  • 出勤しても途中で早退する日が多い
  • 同僚にも業務負担が集中し、不満の声や不安が出始めた

といった状況となり、会社はやむなく再度の休職を命じることになりました。
一方で、Xさん本人は「会社は辞めたくない」「いずれ復職したい」という強い希望を持っていました。
しかし会社としては、

  • 再度復職させても、また同じことを繰り返すのではないか
  • 休職期間満了時に退職扱いにした場合、後で「退職は無効だ」と争われないか

といった不安が大きくなり、当事務所にご相談いただきました。

③当事務所の提案・対応・結果

1.就業規則・休職規程・復職基準の確認

当事務所ではまず、A社の

  • 就業規則
  • 休職制度(期間、要件、休職期間満了時の扱い)
  • 復職の判断基準やこれまでの運用状況

を丁寧に確認しました。
多くの会社と同様、A社の就業規則にも
「休職期間が満了しても復職できない場合には退職(自然退職)とする」
といった趣旨の定めがありました。
しかし、裁判実務の考え方では、規定があるからといって、機械的に「休職期間満了=退職」としてよいわけではありません。
特に、次のような場合には注意が必要です。

  • 完全な健康状態でなくても、「短時間勤務」「軽易な業務」を前提にすれば、3〜6か月程度で通常勤務に戻れる見込みが高い場合
  • 元の職務は困難でも、他部署の業務なら就労可能で、会社側にも現実的な配置転換先がある場合

このような場合に、会社が復職機会や配置転換等の検討を十分に行わず、「休職期間満了なので退職」とした場合、後にその退職が無効とされるリスクがあります。

2.主治医への情報提供と医学的意見の取得

そこで当事務所は、まず「復職の見込みが医学的にどの程度あるのか」を明らかにするため、会社名義で主治医宛ての情報提供・意見照会の書面の作成、対応のサポートを行いました。
この場面で重要なのは、会社や本人の感覚だけで判断しないことです。
主治医等の医学的な意見をきちんと把握し、会社の配慮可能な範囲と照らし合わせて検討したことが、後に説明できるようにしておく必要があります。
併せて当事務所では、

  • 復職可否判断のフロー
  • 判断の過程をどのように記録に残すか(面談記録、医師意見の保管など)

を整理し、会社として迷わず対応できる仕組み作りも支援しました。

3.本人との面談・条件変更の提案

主治医の意見を踏まえて検討した結果、

  • 復職前と同じ職務内容・負荷で勤務することは難しい
  • ただし、時間や業務内容を調整すれば、一定程度の就労は可能と考えられる

という結論となりました。
そこで会社としては、

  • 当面は短時間勤務とすること
  • 心身の負担が比較的軽い業務に変更すること
  • 状況を見ながら、無理のない範囲で働いてもらうこと

を前提とした復職案を、当事務所の助言に基づいて本人に提示しました。
面談では、

  • 医師の意見内容
  • 会社としての受入れ条件
  • それでもなお元のような働き方に戻ることが難しい現状

を丁寧に説明し、その内容を面談記録として残すようアドバイスしました。

4.最終的な解決:本人からの退職申出による円満な終了

これらの説明と協議を重ねた結果、Xさんは最終的に、
「自分の体調や今後のことを考えると、ここで退職したい」
と、自ら退職の意向を示されました。
会社はこの申出を受理し、本人からの自主的な退職という形で事案は終了しました。
A社からは、

  • 「弁護士から法律上の考え方や裁判例を踏まえてサポートが受けられたので安心して対応できた」
  • 「後でトラブルにならないよう、記録を残しながら進められたことがよかった」

といったお声をいただきました。
会社としても、配慮すべき点にはきちんと対応したうえで結論に至ることができ、後日の紛争リスクを大きく下げることができた事案といえます。

④担当弁護士のワンポイント解説

休職と復職を繰り返す社員への対応は、現場の負担、他の社員の公平感、メンタルヘルスへの配慮など、さまざまな要素が絡み合う難しい問題です。
ポイントとなるのは、次のような点です。

  • 休職制度・復職基準・休職期間満了時の取扱いを、就業規則や規程で明確にしておくこと
  • 主治医や産業医の「医学的な意見」をきちんと聴き取り、会社の配慮可能な範囲と照らして復職可否を判断すること
  • 「休職期間が満了したから自動的に退職」と安易に扱わないこと(後日、退職が無効と判断されるおそれがあります)
  • 判断の過程や面談内容を、後から説明できる形で記録に残しておくこと

これらを会社だけで検討しようとすると、「どこまでやれば十分なのか」「何を証拠として残しておくべきか」がわかりにくく、結果として紛争リスクが高まることがあります。
当事務所では、裁判例・実務の考え方を踏まえながら、

  • 個別の事案に応じた復職可否判断のサポート
  • 本人や主治医とのやり取りの仕方に関する助言
  • 将来を見据えた就業規則・休職規程・復職基準の整備

まで含めてご支援しています。
「会社としてどこまで対応すべきかわからない」「休職期間満了後の取り扱いに不安がある」といった場合には、早い段階で専門の弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

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