新潟の弁護士による企業労務相談

弁護士法人リーガル・パートナー法律事務所(新潟県弁護士会所属)
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非違行為を行う社員への対応

―不正行為(横領)を行った従業員に対する被害金回収と懲戒処分の事例―

①企業情報

地方都市に本社を構える卸売業B社(従業員約50名)。
全国にいくつか営業拠点を有しており、そのうちの一つである県外の支店でのご相談をいただきました。

②相談前の状況

問題となったのは、県外支店の営業所に勤務する支店責任者Cさんでした。
Cさんは、営業所のマネジメントだけでなく、支店における経理業務(小口現金の管理、売上・仕入の処理、経費精算など)も、ほぼ一人で任されていました。
ある日、本社で決算資料の確認を行っていたところ、

  • 支店の売上・経費の数字に不自然な点がある
  • 預金残高や小口現金の残高が、帳簿上の数字と合わない

といった違和感が生じました。本社の担当者が過去のデータをさかのぼって確認したところ、約10年近くにわたり、不自然な出金や処理が繰り返されている疑いが強まり、最終的に、合計約500万円の横領が行われていた可能性が浮かび上がりました。
会社としては、

  • 事実関係をきちんと確認したうえで、相応の懲戒処分を行いたい
  • できる限り、被害金額を回収したい
  • しかし、会社が準備なくCさんにヒアリングをすると、否認されたり、証拠を隠滅されたりするリスクが高い
  • 裁判等で長期の紛争になることは避け、できれば短期間で解決したい

という思いがあり、当事務所にご相談いただきました。

③相談後の弁護士よりの提案・解決

当事務所では、まず本社担当者から詳しい事情聴取を行い、既に把握している資料や数字を整理しました。そのうえで、次のようなステップで対応を進めました。

1. 社内調査・証拠保全のサポート

最初の段階では、Cさん本人に気付かれないよう、社内調査と証拠保全を優先しました。

  • 問題となる出金・経費処理を一覧表に整理
  • 銀行口座の取引明細、領収書、伝票など、関連資料の確保
  • 支店と本社間のメールや社内システムのログの確認
  • 他の支店社員からの情報聴取の方法・メモの残し方についての助言

などを行い、後にCさんが否認した場合でも、出来る限り客観的な資料により説明できる状態を整えました。

2. 処分方針と回収方針の整理

並行して、会社の就業規則・懲戒規程を確認し、懲戒解雇とする場合のメリット・デメリットを踏まえつつ、
会社としては、

  • 会社としての姿勢を示すためにも厳正な処分は必要
  • 同時に、被害金額の回収も重視したい
  • 紛争が長期化することは避けたい

という方針を踏まえて、処分方針、回収方針を整理しました。
当事務所からは、
「懲戒解雇相当ではあるが、被害回復を優先しつつ、諭旨解雇処分による退職と示談合意を目指す」という現実的な解決プランをご提案しました。

3. 本人ヒアリング・示談交渉のサポート

証拠が整理できた段階で、Cさん本人へのヒアリングを実施しました。
当事務所では、

  • 質問事項や説明の順序
  • 感情的な対立を避けながら、事実認定を進めるための進行方法
  • 弁護士が同席する場合・しない場合のメリット・デメリット

について具体的な指示・アドバイスを行い、必要に応じて同席も行いました。
当初、Cさんは一部の期間について否認していましたが、
具体的な出金一覧や銀行明細のコピーを示しながら粘り強く説明した結果、最終的には長期間にわたる不正行為を認め、被害弁償にも応じる意思を示しました。
そこで、

  • 被害賠償金の支払方法(即時支払・分割支払)の協議
  • 今後、会社や取引先を誹謗中傷しないこと

なども盛り込んだ内容での示談合意書を作成し、合意に至りました。
同時に、社内の懲戒手続として、諭旨解雇処分により退職とすることが決定されました。当事務所では、社内処分の文書作成等の懲戒処分のサポートも行いました。

4. 刑事手続の位置付け

本件では、示談合意に至ったことから、最終的に被害届・告訴までは行わずに解決しましたが、

  • もし示談に至らなかった場合には、刑事責任の追及も検討すること
  • その場合の手続きの流れや、会社側の負担(証拠提出・事情聴取など)の見通し

についても事前にご説明し、会社としての選択肢をあらかじめ明確にしておきました。
結果として、会社は被害賠償金の回収を図ることができ、Cさんは諭旨解雇処分により退職、示談合意書を交わして短期間で紛争を終結させることができました。

④担当弁護士のワンポイント解説

重要なのは、「証拠」と「処分方針」の事前整理

非違行為対応で重要なのは、

1. 社内調査と証拠保全をきちんと行うこと

2. そのうえで、

  • 懲戒解雇を目指すのか
  • 諭旨解雇・合意退職を目指すのか
  • 被害金の回収をどこまで重視するのか
  • 刑事手続をどの段階で検討するのか

といった「処分方針」を、会社として専門家と整理しておくことです。
この整理ができていれば、本人ヒアリングや示談交渉の場面でも、
感情に流されることなく、「会社として一貫した対応」をとることができます。

早期相談が、被害回復と紛争の早期終結につながる

非違行為の疑いが生じた段階で、早いタイミングで弁護士に相談することにより、

  • 証拠の集め方
  • 本人への聞き取りのタイミング・方法
  • 懲戒処分・退職処理の仕方
  • 示談による解決の可否、刑事手続との関係

を整理したうえで、一つひとつのステップを進めることができます。
結果として、

  • 被害金の回収
  • 紛争の長期化回避
  • 社内の秩序・モラルの維持

という、会社にとって重要なポイントをバランスよく達成しやすくなります。

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